2000年『トロント国際児童映画祭』レポート | |
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この10年ほどで、私の子ども向けの短編アニメーションが随分まとまってきた。この「トロント国際児童映画祭」での回顧上映は、1998年の「ソウル家族映画祭」、昨年のパリのフォラム・ド・イマージュにつづいて海外では3度目になる。 4月13日 4月14日 |
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![]() 「ひやっかずかん」、 「遠近法の箱」が上映された会場 |
午後1時からは「遠近法の箱」と学生の作った1分のアニメーション、スエーデンの実写の長篇「シャーディル(Sherdil)」(監督:ジタ・マリックGita Mallik)が上映された。「遠近法の箱」も「ひゃっかずかん」と同様に反応がいい。終わると大きな拍手。 上映後、一旦ホテルに帰ると国際交流基金のコト・サトウさんからメッセージが。国際交流基金トロント日本文化センターは、今回の映画祭のスポンサーの一つで、私がこうしてトロントを訪れることが出来たのも交流基金のお陰です。お世話になりました。トロントの国際交流基金の場所は劇場の途中にあってホテルの近く。ギャラリーと図書館があって、日本の書籍、最新の雑誌、新聞、ビデオ、LDもある。 スタッフのみなさんと話していると、クラシック音楽好きで、トロント交響楽団のラフマニノフのピアノ協奏曲第1番がよかった、今夜もあるということで、コトさんに予約をしてもらい、一緒に行くことに。実は生で交響曲を聴くのは始めてで、とても楽しみ。 |
上演まで時間があるので、クイーンズ・ストリートをうろついて中華街へ。時間を見計らい、Uターンして、キング・ストリートの先のロイ・トンプソン・ホールへ。 待ち合わせたコトさんと、トロント交響楽団の定期演奏会を聞く。プログラムは、ウエーベルン「オーケストラのための6つの小品」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第1番」、ブラームス「交響曲第1番」。このホールは音が悪いことで有名らしいが、完成度のあるピアノ演奏、ブラームスの交響曲第1番の緊張感も美しかった。 4月15日 |
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![]() 「ルドビック-雪の贈り物 (Ludovic : The snow gift)」
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次の2本はコ・ホードマンさんの新作、テディーベアーのルドビックのシリーズ。1本目の「ルドビック-雪の贈り物(Ludovic : The snow gift)」にはクレジットに「孫の.....にさ捧げる」とある。孫へのプレゼントの玩具の世界が人形アニメーションで再現されているみたい。(以前の作品も子どもの遊びをテーマにした物が多かったけれど。)2作目の「ルドビック-ぼくの庭のワニ(Ludovic : A crocodile in my garden)」のペーパークラフトの動物達の動きがなんともかわいく、コ・ホードマンさんらしさを感じた。 マーティーさんに、美術館まで車で送ってもらい、一昨日歩いた所とは別の中華街で、飲茶を御馳走になる。 5時から子ども番組専門チャンネルCTVのスタジオでクロージング・パーティー。子ども審査員から受賞作の発表があり、和やかに映画祭の幕がおりた。 4月17日 |
映画祭の愉しみは普段見る事のできない作品にいち早く出会える所にある。のちのち興行にかかったり、メディアにのる物もあるが、映画祭でしか出会えない作品も多い。今回は短い滞在で、それ程沢山観られなかったが、NFBの最新の作品が見られてよかった。 私のプログラムも観客の反応がよく、きっと子ども達の心のどこかに残ってくれたに違い無い。子ども達は、日常の雑事に追われてすぐにアニメーションを見たことは、記憶の片隅にいってしまうだろうが、いつの日かまた作品を通して再会できる日を祈る。 (山村浩二) [00.05.11.up] |