幾多の北

山村浩二作品
長編アニメーション映画 | 完成:2021.08 | ワールドプレミア:2021.11.06 | 日・仏 | 64分 | 1.85:1、16:9 | 5.1ch、ステレオ | セリフなし | 字幕:日本語、英語、仏語
長編部門審査員特別賞:第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭
優秀賞:第25回文化庁メディア芸術祭

公式セレクション:第25回ブラックナイト映画祭
第46回ザグレブ国際アニメーション映画祭・アニマフェスト
第61回アヌシー国際アニメーション映画祭

Dozens of Norths

A Film by Yamamura Koji
Feature animation | Completion date: August 2021 | World Premire: 6th November 2021 | Japan, France | 64'00" | 1.85:1, 16:9 | 5.1ch, Stereo | No dialogue | Subtitles: Japanese, English, French
Special Jury Award for the Feature Films: 8th New Chitose Airport International Animation Festival
Excellence Award: 25th Japan Media Arts Festival
Official Selection: 25th Black Nights Film Festival
46th World Festival of Animated Film - Animafest Zagreb
61st Annecy International Animation Film Festival

予告編 | Trailer

| Trailer@Vimeo | 2KTrailer@YouTube | 4KTrailer@YouTube |


Japan Media Arts Festival


第25回文化庁メディア芸術祭

アニメーション部門 優秀賞
第25回受賞作展 Festival:2022.09、日本未来館


25th Japan Media Arts Festival
Excellence Award: Animation Division
Festival: September 2022, Miraikan the National Museum of Emerging Science and Innovation

Animator

第13回アニメーター:国際アニメーション映画祭
2022.07.08-15、ポーランド、ポズナン
ポーリッシプレミア
長編部門 公式セレクション


13th Animator: International Animated Film Festival
2022.07.08-15, Poland, Poznan
Polish Premiere
Feature Films Competition Official Selection

Annecy


第61回アヌシー国際アニメーション映画祭

2022.06.13-18、フランス、アヌシー
フレンチプレミア
長編映画コントルシャン部門 公式セレクション


61st Annecy International Animation Film Festival
2022.06.13-18, France, Annecy
French Premiere
Feature Films Contrechamp Selection Official Selection

Animafest Zagreb

第46回ザグレブ国際アニメーション映画祭・アニマフェスト
2022.06.13-18、クロアチア、ザグレブ
クロアチアレミア
グランドコンペティション長編映画部門 公式セレクション


46th World Festival of Animated Film - Animafest Zagreb
2022.06.13-18, Croatia, Zagreb
Croatian Premier
Grand Competition - Feature Film Official Selection

Golden Kuker

第13回ソフィア国際アニメーション映画祭 - ゴールデン・クーカー・ソフィア
2022.05.25-29、ブルガリア、ソフィ
ブルガリアプレミア
長編映画 [45分以上] 公式セレクション


13rd International Animation Film Festival - Golden Kuker Sofia
Bulgaria, Sofia, 2022.05.25-29
Bulgarian Premier
Feature Film [over 45 min] Official Selection

Nippon Connection

第22回ニッポン・コネクション日本映画祭
2022.05.24-29、ドイツ、フランクフルト
ドイツプレミア
公式セレクション


22nd Nippon Connection Japanese Film Festival
Germany, Frankfurt, 2022.05.24-29
German Premier
Official Selection

Sommets

第20回アニメーションシネマサミット
2022.05.10-15、カナダ、モントリオール
北米プレミア
公式セレクション


20th Sommets du cinéma d'animation
2022.05.10-15, Canada, Montreal
North American Premiere
Official Selection

Anifilm

第21回アニフィルム国際アニメーション映画祭
2022.05.10-15、チェコ共和国、リベレツ
チェコプレミア
国際長編映画コンペティション 公式セレクション


21st International Animation Film Festival ANIFILM
2022.05.10-15, Czech Republic, Liberec
Czech Premiere
International Competition of Feature Films Official Selection

Fantaspoa

第18回 ファンタスポア - ポルト・アレグレ国際ファンタスティック映画祭
ブラジル、ポルト・アレグレ、2022.04.20-05.01
南米プレミア
ファンタスポア2022長編アニメーション映画コンペティション部門


8th Fantaspoa - International Fantastic Film Festival of Porto Alegre
Brazil, Porto Alegre, 2022.04.20-05.01
South American Premiere
Animated Feature Film Competition of Fantaspoa 2022

MONSTRA


第21回モンストラ・リスボンアニメーション映画祭

2022.03.16-27、ポルトガル、リスボン
ポルトガルプレミア
長編映画コンベンション


21st MONSTRA - Lisbon Animation Festival
16-27 March 2022, Portugal, Lisbon
Portuguese premiere
Feature Film Competition

Mainichi Film Awards

第76回毎日映画コンクール
2021.12、日本
アニメーション映画賞・大藤信郎賞ノミネート


76th Mainichi Film Awards
December 2021, Japan
Nomination for the Animation Film Award and the Ōfuji Noburō Award

FFF

第21回未来映画祭
2021.12.08-12、イタリア、ボローニャ
イタリアプレミア
国際長編アニメーション映画コンベンション・オープニング作品


21st Future Film Festival
8-12 December 2021: Bologna, Italy
Italian premiere
Opening film of International Animated Feature Films competition

PÖFF25


第25回タリン・ブラックナイト映画祭

2021.11.12-28、エストニア、タリン
インターナショナルプレミア
初長編コンペティション公式セレクション


25th Black Nights Film Festival
12-28 November 2021, Estonia, Tallinn
International premiere
First Feature Competition


TIFF

第2回龍野国際映像祭
2021.11.13-28、日本、兵庫
公式招待上映
、クロージング作品


2nd Tatsuno International Film Festival
13-28 November 2021, Japan, Hogo
Official Invitation Screening
, Closing Film

Airport Anifes


第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭

2021.11.05-08、日本、北海道
長編コンペティション公式セレクション
ワールドプレミア
長編部門審査員特別賞受賞


8th New Chitose Airport International Animation Festival
5-8 November 2021, Japan, Hokkaido
Feature Film Competition Official Selection
World premiere
Special Jury Award for the Feature Films

SDGs×ARTs

SDGsxARTs展
2021.07.22-08.31
東京藝術大学美術館 本館展示室3・4、東京・上野
「幾多の北」原画+文章5点


SDGsxARTs Exibition
22 July - 31 August 2021
Main Gallery 3, 4 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts), Ueno, Tokyo
5 original drawings and text of "Dozens of Norths"

レビュー | Review

レビュー、評論 | Review, Criticism

月刊誌『文學界』表紙として連載したイラストを、自らの手でアニメーション映画化。イラストは「長編アニメーションを構想しその一場面を描く」というコンセプトで描かれていたそうで、アニメーション化は必然だった。本作は語り手の羽根ペンを、2人の小人が抱えて歩き出すところから始まる。彼らは語り手に代わって無意識の領域を進む本作の案内人。本作では無意識の領域が、語り手の内面ではなく、「断片」を通じて世界のあり方を示した場所になっている。描かれる「断片」も最初は「風刺」とも思えるほど具体的だが次第に抽象度を増していく。そして一番深いところで世界は「語り手」とも結びついていることが語られる。寂寥感や不穏な空気を感じさせる画面だが、同時にユーモラスでどこか懐かしい雰囲気も漂う。主題のスケールの大きさと、このような表現の厚みは長編だからこそ到達できたものだ。(藤津 亮太)

アニメーション部門 優秀賞・贈賞理由
| 第25回文化庁メディア芸術祭 | 2022.03
Animation Division Excellence Award | 25th Japan Media Arts Festival | March 2022


"The long-awaited first feature from a legend of Japanese animation, this trip through the darkest places on earth more than meets expectation. ...
It feels purposefully like a dream, showing an author falling asleep and two smaller men walking away with his quill like arctic explorers. These are the Rosencrantz and Guildenstern of the piece, guiding us through a hellish landscape that feels inspired by both Dante and Kafka in its depiction of sadness and depravity. ...
The result is one of the boldest animated features I’ve seen in a while, a journey through an animation world worthy of inclusion alongside the likes of Pixar, Hertzfeld and Miyazaki. "

日本アニメーション界のレジェンドによる待望の初長編作品。

存在の極限と孤立を探求する魅惑的なイメージの塊である「幾多の北」は、日本の伝説的なインディペンデント・アニメーション作家、山村浩二の待望のユニークな初長編作品である。日本の伝統的なアニメを期待してはいけない。何十年もの間、スタジオシステムの外で短編作品を制作し、独自の道を切り開いてきた人だから。驚くべき技術的センスと、印象的で奇抜な映像への優れた眼差しを持つこの作品は、長編コンペティションの中でも特に傑出した一つといえるだろう。

映画は、一連の世界地図で始まる。それらはすべて、暗い夜、厳しい人々、寒い気候で知られる北の周辺を指している。山村監督は、この映画を、つながりのないランダムな断片の連続として表現している。これは、この映画が「無意味」という文字通りの概念を探求していることを考えると、有益な発想だ。不機嫌な時、二日酔いの時、あるいはコーヒーを飲み過ぎた時には、この映画を見ないでください。

意図的に夢を見ているような気分になる。作家が眠りに落ち、2人の小柄な人間が北極圏の探検家のように彼の羽ペンを持って去っていく様子が描かれている。彼らはこの作品のローゼンクランツとギルデンスターンであり、悲しみと堕落の描写においてダンテとカフカの両方からインスピレーションを得たと思われる地獄のような風景の中で私たちを導いてくれます。崖っぷちで瀕死の動物に繋がっている男、小さな糸で逆さに吊られて自分の潜在意識に囚われている男、工事現場のような女性の頭、そして意味のない仕事に従事している人々の大群。ダンテの「インフェルノ」のように、私たちが目にする世界は恐ろしいものだが、非常に美しく表現されている。奇抜なデザイン、奇妙なキャラクターのセリフ、リアルな空虚感で賑わう手描きのアニメーションだ。

「不安はゆっくり侵食する」といった格言を含む、小さな詩のようなテキストが画面に周期的に表示される。この映画には台詞がないので、見るのと同じように読むことになり、詩的な無声映画のような雰囲気を醸し出している。また、ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンの作品や、ニューオリンズ・ジャズ、雰囲気のあるサウンドデザインなどの要素を取り入れた通作歌曲形式の曲が、この作品を引き立ている。生演奏で披露されることが容易に想像できる。不安になるが、着実に楽しむことがでる。ただ、70分以内であったことが嬉しい。これ以上長くなると、本当に暗い考えが浮かんでくるかもしれない。

本物の実存主義だけでなく、もう一つのメッセージは、資本主義下での存在の疎外感であるように思われる。特に、管理者に会ったことがないにもかかわらず、人々が絶えず仕事をしているという部分だ。私たちが地獄を歩いているのなら、天国もあるはず。あなたの代わりに誰かが人生を楽しんでいるのだから。しかし、通常の意味での解放は訪れず、山村は毎回、物語よりも映像を選ぶ。その結果、これまでに見た中で最も大胆なアニメーション作品のひとつとなり、ピクサー、ハーツフェルド、宮崎などと並ぶにふさわしいアニメーションの世界を旅することができた。
Redmond Bacon | DMovies | Dozens of Norths (Ikuta no Kita) | 22 December 2021


...仰天!あまり観たことないというか、いや、全く観たことないような“長編映画”体験がそこにはありました。...
普通は“一見さんお断り映画”とはならないはずの映画なのですが、私はこれを“一見さんお断り映画”に括りたい。
なぜなら、山村浩二監督のこれまでの短編のテンションをそのままに長編化したアニメーション詩となっていて、それを踏まえないまま観るのには体力を要する作品となっているからです。長尺に耐えられるように飲み込みやすくなんて甘いことはしない硬派の極地のような映画でした。(抜粋)
ネジムラ89 | Note |【映画レビュー】最速『幾多の北』の感想!“かつてない”長編映画ってこういう作品のことを言うのかも......! | 2021.11.23


焦点が定まった詳細な様子とそれにピタリとマッチするリズム。なるほどなるほど、と思ったのは束の間、グッとその様子が俯瞰されると一瞬前に見たはずの出来事が全く分からなくなる。長編アニメーションの多くはしっかりとしたストーリーを軸に、詳細なエピソードが散りばめられている。その詳細が大きなストーリーを濃密なものにしてゆくとするなら、この作品ではまるでその逆である。目を凝らして見た細かなディティールは、どこかで繋がっているようでいながら、そもそもなんの関係もないのかもしれないのだ。ただそれが何だか楽しい。のは、私だけではないはずだ。インパクトのあるビジュアルがどこか不穏でユーモラスな旋律と共に瞬く間に変化し、目を離させない。「長編」の重要な要素であるはずのストーリー性からの逸脱という挑戦が、その新しいあり方を提示している。
長編部門審査員特別賞・受賞理由 | 第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 | 2021.11.08

Focusing the details accurately with a rhythm that matches perfectly but shifting into a bird's-eye view makes the viewers lose what happened just a moment ago. Many feature-length animations are based on detailed episodes centered around a solid story and these details make a whole story dense. What happened in this film is the opposite: the details seem to be connected somewhere, but it is possible that they don't have any connections. It makes me feel fun, and I would not be the only one. The high-impact visual that changes in a blink of an eye with some uncanny and humorous melody keeps attracting our eyes. The challenge of deviating from the story, which should be an important element of feature films, makes this film innovative.
Jury Comment: Special Jury Award for the Feature Films | 8th New Chitose Airport International Animation Festival | 8 November 2021


...対して『幾多の北』は、あくまで「絵」としての空間を保持する。いや、それだと「絵画的」だとか、イラストレーションが動いたようなだとか、そういった風に理解されてしまうのかもしれないが、そうではない。「アニメーションが絵に描かれたものであるかぎりにおいての必須条件としての絵」だからこそつくり出せる空間を活用するのだ。長編アニメーション作品を作るのに、僕たちが暮らすボリュームのある空間を模倣する必要はないのだ、と高らかに宣言するかのごとく。(抜粋)
土居伸彰 | メディア芸術カレントコンテンツ | コロナ禍に鈍く光を放つ、実験場としての長編アニメーション | 2021.10.25


" ...the incredible harmony between the animation and the music will make it impossible to imagine any other symbiosis. “Dozens of Norths” is done in the spirit of silent movies, and when Breukner’s tunes are gone, it’s the impeccable sound design by Koji Kasamatsu that takes over with the sound of chilly winds, rusty machines and breaking waves adding to the feeling of deep void and solitude.
...The film doesn’t have a clear plot, just like a dream. What it does have is a magical atmosphere, with every detail executed by Yamamura’s skillful hand. It’s a gem that won’t click with everyone because it requires passion for arthouse animation and concentration."

山村浩二は、「そこで出会った人々」が住む、悪夢のような、複雑で抽象的な手描きの「北の大地」を作り上げ、11月のPÖFFの初長編コンペでプレミア上映された。2003年に短編『頭山』でアカデミー賞にノミネートされ、数々の重要な賞を受賞してきた長年のアーテイストである山村の作品を「デビュー作」と呼ぶのは不思議だが、『幾多の北』は64分という「大人のサイズ」ゆえにそう呼ばれているのだろう。

山村は、2012年から2014年にかけて月刊文芸誌「文學界」に掲載した自身のイラストと文章をもとに、映画を制作した。人生の意味の探求、人々の苦しみや恐れ、野心、精神性とのつながり、あるいはその欠如を扱った脚本に、個々のイラストを中心に物語を書き、パズルのように組み立てていった。

北極周辺の広大な地域を示す世界地図をいくつも提示した後、この日本のアニメーターは、自分の記憶が断片的で無意味であることを警告している。これは、彼が潜在意識の領域へ外に向かって冒険していることを率直に示すもので、ウィレム・ブロイカーの『Drums in The Night/ The Resistible Rise of Arturo Ui』から選んだ、この映画のためだけに作曲したかのような不気味なサウンドが添えられている。もちろん、ブロイカーは2010年に亡くなり、レコードは1983年から世に出ているので、そうではありませんが、アニメーションと音楽の驚くべき調和は、これ以外の共生を想像させることはないでしょう。『幾多の北』は無声映画の精神で進み、ブロイカーの曲がなくなると、笠松広司による完璧なサウンドデザインが引き継ぎ、冷たい風の音、錆びた機械、砕ける波の音が、深い空白と孤独の感覚に拍車をかける。

『幾多の北』の記録者は、おそらく山村自身だろう。過労のため二人の小さな登場人物に筆を奪われ、幾多の北への探検でそれをある種の遺物として使用したのだ。彼らは厳しい気象条件に耐え、ある時は満杯のグラスの縁に足をぶらぶらさせながら(書れた)物語を語っている。字幕には、「失ったフレーズを探す旅」と書かれているが、これはこの映画が実は作家の創作意欲の欠如を描いたものであることを示す最も明確な証拠の一つであろう。「過去と未来 どちらも変更不可なのか」

"ここ "と "あそこ "が想像力によってつながり、暗く不穏なイメージが、しばしば繰り返される。人間とは似ても似つかない「人」が、人間と同じような活動に没頭し、一見無意味な作業で社会に貢献し、ある種の論理に従いながら、他の想像上の地球にとっては謎のままなのだ。

物語には名のない蟲も登場する。これはありがたいことにコロナを示唆するものではない。基本的には「人々を苦しめたいと願う誰かの戯言」であり、一見シンプルな言葉で定式化されたその象徴性は、意味を孕んでいる。実際に『幾多の北』で人はデタラメに死んでいくのだが、その前に蟲に「光らされる」。

この映画には、まるで夢のように明確なプロットがない。あるのは、山村の巧みな手腕で細部まで表現された、不思議な雰囲気だ。アニメーションに対する情熱と集中力が必要なため、万人受けはしないが、珠玉の作品である。
Marina D. Richter | Asian Movie Pules | 
Film Review: Dozens of Norths (2021) by Koji Yamamura | 22 December 2021


...仰天!あまり観たことないというか、いや、全く観たことないような“長編映画”体験がそこにはありました。...
普通は“一見さんお断り映画”とはならないはずの映画なのですが、私はこれを“一見さんお断り映画”に括りたい。
なぜなら、山村浩二監督のこれまでの短編のテンションをそのままに長編化したアニメーション詩となっていて、それを踏まえないまま観るのには体力を要する作品となっているからです。長尺に耐えられるように飲み込みやすくなんて甘いことはしない硬派の極地のような映画でした。(抜粋)
ネジムラ89 | Note |【映画レビュー】最速『幾多の北』の感想!“かつてない”長編映画ってこういう作品のことを言うのかも......! | 2021.11.23


焦点が定まった詳細な様子とそれにピタリとマッチするリズム。なるほどなるほど、と思ったのは束の間、グッとその様子が俯瞰されると一瞬前に見たはずの出来事が全く分からなくなる。長編アニメーションの多くはしっかりとしたストーリーを軸に、詳細なエピソードが散りばめられている。その詳細が大きなストーリーを濃密なものにしてゆくとするなら、この作品ではまるでその逆である。目を凝らして見た細かなディティールは、どこかで繋がっているようでいながら、そもそもなんの関係もないのかもしれないのだ。ただそれが何だか楽しい。のは、私だけではないはずだ。インパクトのあるビジュアルがどこか不穏でユーモラスな旋律と共に瞬く間に変化し、目を離させない。「長編」の重要な要素であるはずのストーリー性からの逸脱という挑戦が、その新しいあり方を提示している。
長編部門審査員特別賞・受賞理由 | 第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 | 2021.11.08

Focusing the details accurately with a rhythm that matches perfectly but shifting into a bird's-eye view makes the viewers lose what happened just a moment ago. Many feature-length animations are based on detailed episodes centered around a solid story and these details make a whole story dense. What happened in this film is the opposite: the details seem to be connected somewhere, but it is possible that they don't have any connections. It makes me feel fun, and I would not be the only one. The high-impact visual that changes in a blink of an eye with some uncanny and humorous melody keeps attracting our eyes. The challenge of deviating from the story, which should be an important element of feature films, makes this film innovative.
Jury Comment: Special Jury Award for the Feature Films | 8th New Chitose Airport International Animation Festival | 8 November 2021


...対して『幾多の北』は、あくまで「絵」としての空間を保持する。いや、それだと「絵画的」だとか、イラストレーションが動いたようなだとか、そういった風に理解されてしまうのかもしれないが、そうではない。「アニメーションが絵に描かれたものであるかぎりにおいての必須条件としての絵」だからこそつくり出せる空間を活用するのだ。長編アニメーション作品を作るのに、僕たちが暮らすボリュームのある空間を模倣する必要はないのだ、と高らかに宣言するかのごとく。(抜粋)
土居伸彰 | メディア芸術カレントコンテンツ | コロナ禍に鈍く光を放つ、実験場としての長編アニメーション | 2021.10.25



panorama-cinema

KÔJI YAMAMURA : SOUFFRIR SON NORD | 11 May 2022 | Yamamura Koji Interview by MATHIEU LI-GOYETTE | Canada

Hibino Earth Paper

岐阜新聞創刊140年企画 HIBINO EARTH PAPER 2021 | 山村浩二インタビュー | 2021.09.26 | 日本

映CG

"映CG issue 47: 動畫人的非創作思維" (InCG Issue 47:Non-creative thinking of animators) | Yamamura Koji Interview | June 2021 | Taiwan

Blink Blank

"BLINK BLANK # 3" | Yamamura Koji Interview by Alex Dudok de Wit | April 2021 | France


シノプシス

北はどこの北も淋しい。此処はどこも北なのだ。これから話すのは、私が北で出会った人々の記録だ。ただ記憶は断片的で、まったく要領を得ない。今はこれが徒労ではないかと焦り始めている 。胸の鈍い痛みが 少しずつ形を変えては、時折世界の実存を認識させられる。

Synopsis

North is everywhere solitary. Here is all North. This is a record of the people I met in these Norths. However, my memory is fragmented and does not get the point at all. Now I'm starting to wonder my efforts came to nothing. I'm just getting the occasional recognition of the existence of the world through the dull pain changes shape little by little.

ディレクターズノート

月刊「文學界」(発行:文藝春秋)で、2012年4月から2014年12月まで、32号にわたって描いた表紙の絵と短いテキストが、アニメーション映画「幾多の北」のベースになっている。架空の映画を空想することで、毎号独立しながらも大きな物語の一部としてシーンを考え、一枚の絵と同時にテキストを書いていった。
この映画では、元凶を具体的には描かず、何らかの原因で人生が立ち行かなくなった人々を描いている。方向としての北は一つだが、この映画では北を複数形とした。北は偏在し、その場所でもあり、その先にある北でもある。
不安や苦悩はどこから来るのか?キリスト教倫理では、苦悩に価値を与え、苦悩を消極的状態から積極的な精神的内容を持つ経験へと変えた。仏教の思想では、病気や死など人が避けられない苦悩の原因をカルマに求めた。しかし現代では、科学の信仰により、こういった宗教的な苦悩への意味付けは、リアリティを感じにくくなってきている。 自らの創作行為によって、現在の苦悩を理解したい。そしてこの精神をよりリアリティを持って未来に伝えるために、現実に起こった不幸による近代の苦悩の「神話化」を試みる。この映画で、見えない不安と苦悩の元凶を探りつつ、人間の営みの悲しみと滑稽さを描き、最後には僅かでも現実世界への希望も感じさせたいと思っている。 (山村浩二)

Director's Note

The basis for the animated film “Dozens of Norths” is the series of cover illustrations and short texts that I made across 32 issues of the monthly literary magazine “Bungaku-Kai” (Published by Bungeishunju) from April 2012 to December 2014. In this work, by fantasizing about a fictional movie, I thought of each independent cover as a scene of one larger story and wrote a text for each illustration I made.
This film does not depict the specific reasons, but rather people whose lives have become stuck for some reason. North as a direction is one thing, but in this film, I made north plural. North is ubiquitous, it is both that place and the north beyond it.
Where do anxiety and suffering come from? Christian ethics gave value to suffering, transforming it from a passive state into an experience with positive spiritual meaning. In buddha’s thoughts, he sought karma as the reason for the afflictions that people cannot avoid, like illness and death. However, modern trust in science makes these religious meanings of suffering feel less real. I want to understand current suffering through my act of creation. And to transmit this spirit with more reality to the future, I am attempting to “mythologize” the modern suffering caused by real-life misfortunes. With this film, I hope to explore the invisible source of anxiety and suffering while depicting the absurdity and sadness of human existence, to finally make people feel even a little bit of hope for the real world. (Yamamura Koji)

使用曲

「夜うつ太鼓/アルトゥロ ウイの興隆」
ウィレム ブロイカー楽団
(1983
BVHaast Grammofoonplaten)
左派(革命)
舞台回し
ブルジョアのワルツ(鍋ピアノによる)
私はあなたと行きたくない(アンナとムルク)
死んだ兵士の残酷歌
オープニング
スパルタクス団
アンナ
マンモスホテル・ウィのスイートルーム
アルトゥロ ウイ

Sound Track

“Drums in The Night / The Resistible Rise of Arturo Ui”
Willem Breuker Kollektief
(1983 BVHaast Grammofoonplaten)
De gauche (la Révolution)
The Announcer
la Valse de la bourgeoisie (au piano casserole)
Je ne veux pas aller avec toi (Anna et Murk)
la Complainte du soldat mort
Ouvertur
Spartakus
Anna
Hotel Mammoth Ui’s Suite
Arturo Ui



スタッフ | Staff

音楽:ウィレム ブロイカー

ウィレム・ブロイカー(1944 - 2010)は、オランダのジャズ・バンド・リーダー、作曲家、編曲家、サックス奏者、バスクラリネット奏者。 1960年代中頃から演奏活動をはじめる。
1974年、10人編成のウィレム ブロイカー楽団の指揮を取り始め、レコード・レーベル「BVHaast」を設立。演劇やボードビルから要素を引き出し、演劇的なものをはじめ型破りな方法を使ってジャズでパフォーマンスを行った。グループと共に、西ヨーロッパ、ロシア、オーストラリア、インド、中国、日本、米国、およびカナダをツアーした。 ブロイカーはクルト・ヴァイルの音楽の権威としても知られている。 また、1977年に始まり、アムステルダムで毎年恒例となった「フェスティバル・炎の矢を放て」を開催。1992年J.ブゼリンとF.ブゼリンによって書かれた伝記『ウィレム・ブロイカー』をフランスのライモン出版から出版。1994年ににはWalburg Pers出版からオランダ語の翻訳を出版。1997年、キャリー・ド・スワンとともに、ヴァイルの生涯に関して48時間にわたって放送する12部構成のラジオ・ドキュメンタリー番組「コンポニスト・クルト・ヴァイル」を制作。 1999年に2枚のCDを含む『ウィレム ブロイカー楽団:25周年を祝う』を出版。1998年、オランダ・ライオン勲章を授与。長く肺癌を患い、2010年アムステルダムで死去。

Music: Willem Breuker

Willem Breuker (1944 – 2010) was a Dutch jazz bandleader, composer, arranger, saxophonist and bass clarinetist.
From the mid 1960s he started as jass player. In 1974, he began leading the 10-piece Willem Breuker Kollektief, which performed jazz in a theatrical and often unconventional manner, drawing elements from theater and vaudeville With the group, he toured Western Europe, Russia, Australia, India, China, Japan, the United States, and Canada. In 1974, he founded the record label BV Haast. Beginning in 1977, he organized the annual Klap op de Vuurpijl (Top It All) festival in Amsterdam. Haast Music Publishers, which he also operated, published his scores. In 1992, Editions de Limon published the book Willem Breuker by J. and F. Buzelin in France. Uitgeverij Walburg Pers published a Dutch translation in 1994. In 1999 BV Haast published the book Willem Breuker Kollektief: Celebrating 25 Years on the Road, which includes two albums. In 1997, he produced with Carrie de Swaan Componist Kurt Weill , a 48-hour, 12-part radio documentary on the life of Kurt Weill. In 1998, Breuker was knighted with the Order of the Netherlands Lion. He died on 2010 in Amsterdam. He suffered from lung cancer and had been ill for some time.

監督:山村浩二

1964年生まれ。90年代「パクシ」「バベルの本」など子供向けアニメーションを制作。「頭山」(2002年) が第75回アカデミー賞にノミネート、アヌシー、ザグレプ他6つのグランプリを受賞、「今世紀100年の100作品」に選出される。「カフカ 田舎医者」 (2007年) がオタワ他7つのグランプリを受賞、アニメーション作品の受賞は140を超える。 2021年、過去25年間の優れた短編監督25人のトップ2に選出。「おやおや、おやさい」 「ぱれーど」他絵本画家としても活躍。NHK「おかあさんといっしょ」のエンディング曲「べるがなる」の作詞。川喜多賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、紫綬褒章受章。映画芸術科学アカデミー(米)会員、ASIFA日本支部理事、日本アニメーション協会副会長、ひろしま国際平和文化祭メディア部門ディレクター。中国美術学院客員教授、東京造形大学客員教授、東京藝術大学教授。

Director: Yamamura Koji

Born in 1964. During the 1990s, He was making films for children, "Pacusi", "Bavel's Book" and so on. Nominated for an Oscar for Best Animated Short, "Mt. Head" (2002) had 6 grand prizes and selected 100 Films for a Century of Animation. "Franz Kafka’ s A Country Doctor" (2007) had 6 grand prizes, his films got awarded more than 140 prizes. He has been selected as the 2 place at 25 top short animated films directors over the last 25 years in 2021.He is also active as a picture book author for "Viva Vegetables (Oyaoya Oyasai)", "Parade" and so on. Lyrics for the ending song "Beru ga Naru" of NHK longevity children's program. "Okasan to Issho"
He was awarded Kawakita Prize and Education Award for Fine Arts in Japan and received the Medal with Purple Ribbon in 2019.
He is a member of the Academy of Motion Picture Arts and Sciences, a sub-chairman of the Japan Animation Association (JAA) and a member of the board of directors of the Japanese branch of the International Animated Film Association (ASIFA) and a director for the Hiroshima Festival Media Arts Division from 2021.President of Yamamura Animation, a visiting professor of Tokyo Zokei University since 2004 and China Academy of Art since 2021 and a professor of Tokyo University of the Arts since 2008.

フィルモグラフィー

1987 水棲
1989 ひゃっかずかん
1990 遠近法の箱
1991 ふしぎなエレベーター
1992 カロとピヨブプト
1995 パクシ
1995 キップリングJr.
1995 キッズキャッスル
1996 バベルの本
1999 どっちにする?
2002 頭山
2002 おまけ
2005 年をとった鰐
2005 無花果
2007 カフカ 田舎医者
2007 こどもの形而上学
2011 マイブリッジの糸
2013 古事記 日向篇
2016 サティの「パラード」
2016 怪物学抄
2017 水の夢
2019 ゆめみのえ
2021 ホッキョクグマすっごくひま
2021 幾多の北

Filmography

1987 Aquatic
1989 Japanese-English Pictionary
1990 Perspektivenbox
1991 The Elevator
1992 Karo&Piyobupt
1995 Pacusi
1995 Kipling Jr.
1995 Kid's Castle
1996 Bavel's Book
1999 Your Choice!
2002 Mt. Head
2002 Pieces
2005 The Old Crocodile
2005 Fig
2007 Franz Kafka's A Country Doctor
2007 A Child's Metaphysics
2011 Muybridge's Strings
2013 The Hyuga episode of Kojiki
2016 Satie's "Parade"
2016 Notes on Monstropedia
2017 Water Dream
2019 Dreams into Drawing
2021 Polar Bear Bears Boredom
2021 Dozens of Norths

オールスタッフ

音楽:ウィレム ブロイカー
原作:山村 浩二
出版:月刊「文學界」(2012-2014) 文藝春秋
アニメーション:山村 浩二 / 矢野 ほなみ / 中田 彩郁
彩色・背景美術・合成・ビジュアルエフェクト:山村 浩二
デジタルワークアシスタント:山村 早苗
英語翻訳:マイケル ラザリン
仏語翻訳:イラン グェン
サウンドデザイン・リレコミキサー: 笠松 広司
ダビングステージ:楽音舎スタジオ2001:
感謝 : 田中 光子 / 大嶋 由美子 / 浅井 茉莉子 / 関口 聖司 / ニコラス グアリン レオン / 齋 ジュリア愛 / アリエン ホルテル / バーナード フネキンク   
プロデューサー:山村 浩二 / エマニュエル=アラン レナー ル / ピエール バウサロン  
財務管理:シリル スメット
製作監督:タンギー オリビエ
製作マネージャー:ピエール ボアヴァン
製作助手:山村 早苗 / エミリー コピエ
技術管理:クリスチャン セレス
管理助手:デヴィッド ドス サントス
映画祭・国際配給:Miyu ディストリビューション
配給担当:ルース グロジャン
製作:ヤマムラアニメーション / Miyuプロダクションズ
脚本・編集・監督:山村 浩二

All Staff

Music: Willem Breuker
Based on the Illustrations and Text by Yamamura Koji
Published at the Monthly Bungaku-Kai, (2012-2014) Bungeishunju
Animation:  Yamamura Koji / Yano Honami / Nakata Ayaka
Coloring, Background Art, Compositing & Visual Effects: Yamamura Koji
Assistant Digital Work: Yamamura Sanae
English Translation: Michael Lazari
French Traduction: Ilan Nguyên
Sound Designer & Re-recording Mixe: Kasamatsu Koji
Dubbing Stage: Rakuonsha STUDIO 2001:
Thanks to Tanaka Mitsuko / Ohshima Yumiko / Asai Mariko / Sekiguchi Seiji / Nicolás Guarín León / Sai Julia Ai / Arjen Gorter / Bernard Hunnekink
Producer: Yamamura Koji / Emmanuel-Alain Raynal / Pierre Baussaron
Chief Financial Officer: Cyril Smet
Director of Productions: Tanguy Olivier
Production Manager: Pierre Boivin
Production Assistants: Yamamura Sanae / Emilie Coppier
Technical Manager: Christian Serres
Administrative assistant: David Dos Santos
Festival & International Sale: Miyu Distribution
Distributor: Luce Grosjean
Produce by: Yamamura Animation / Miyu Productions
Script, Edit ing and Direction: Yamamura Koji



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This project enjoyed the NEF Animation Writing Residency in Abbaye Royale de Fontevraud, Odyssée Program - ACCR, with the support of the French Ministry of Culture, the French National Center for Cinema and the Moving lmage (CNC) and the French Region Pays de la Loire.

 


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