山村浩二-雑記4(2003.5‾12)

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2003.12ヤマムラアニメーションこどもずかん
 こどもの城で大規模な展覧会「ヤマムラアニメーションこどもずかん+アートライブラリー」がはじまった。こどもの城スタッフの尽力で大変充実した展覧会になっています。私にとっては、『水棲』から『頭山』までの制作の軌跡の総まとめとなり、今後の自分の方向性を考える良い機会だと捕らえています。
 今年は目まぐるしく色々な事がありました。アカデミー賞ノミネートのお陰で「短編アニメーション」の世界を世の中に少しでも認知してもらえた気がするのが、一番の成果だと感じています。来年はもう少し落ち着いて、新作の製作に集中したいと思っています。

2003.12イタリアとフランス
「第3回 日本の新しき映像 日本のアニメーション・デジタル映画祭」ポスター原画
 12月4日から13日までイタリアとフランスへ行きました。ボローニャの南、フェラーリで有名なイモーラで開かれた短編映画祭「コート・イモーラ・フェスティバル」で回顧展があったのと、パリ、フォラム・デ・イマージュ第3回 日本の新しき映像 日本のアニメーション・デジタル映画祭」で回顧上映と『冬の日』の海外でのプレミア上映に立ち会いました。こちらの映画祭で描いたポスターも好評でした。私のプログラムは、私が影響を受けた短編アニメーション8本の上映と私の回顧上映の2プログラムを解説をしながら続けて上映、4時間以上に及ぶ長丁場でしたが、満員の観客は熱心に聞き入り、知的関心の高さを実感しました。
 パリでは人形アニメーションのパイオニア、ラディスラフ・スタレビッチのお孫さんのお宅にお邪魔して、1920年代の人形を見せていただいた。今フランスでは、フォラム・デ・イマージュのカワ・トポールさんの努力によって、スタレビッチのフィルムが復元され、新たに音楽を付けた『Les Contes de I'Horloge Magique』が公開さてている。パーティーでは、なんとエミール・コールのお孫さんにも会い、フィリップ・ブックをいただいた。インディペンデントのアニメーション作家、フローレンス・ミアイさんのスタジオへの訪問も興味深かった。
 クリスマスのイルミネーションも美しいイタリアとパリ観光も堪能でき、両方の関係者のあたたかいサポートに感謝しています。

2003.9幻のオーストリア
 9月8日から12日までオーストリアのリンツに行く予定だった。『頭山』がメデイア・アートの祭典、アルス・エレクトロニカ・フェスティバルで、コンピュータ・アニメーション/ビジュアル・エフェクト部門の準グランプリを受賞して、受賞式とプレゼンテーションのスピーチをする予定でした。ところが飛行機の欠航で、乗客は一旦ホテルに連れていかれたのですが、夕方、翌日飛ぶ事が判明、それだとスピーチに間に合わないことが判り、結局往復キャンセルすることになりました。なので1日成田を往復しただけです。こんなこともあるんですね。

2003.9近況

アヌシーの授賞式。
Acmeのロンさんと。
 2月のアカデミ−賞ノミネート後、あっと言う間に半年以上すぎてしまった。6月、アヌシーで『頭山』がグランプリを受賞した影響もあるが、週3〜4本の取材がずっと続いている。海外からの取材もあるし、映画祭への出品依頼、国内では講演の依頼も多くなった。東京渋谷ユーロスペース、大阪千里セルシーシアター、名古屋シネマテークでの『ヤマムラアニメーション図鑑』劇場公開、瀬戸こども創造館のオープニング、代官山、名古屋、ソウルでの『頭山』原画展と、イベントも沢山あった。7月にはブラジル「アニマムンディ」で回顧上映があり、リオとサンパウロに行って来た。余裕ができたら「アヌシー」「アニマムンディ」の旅行記もここに書きたいと思っている。
 新作の準備は、順調に遅れている......。来週からは、アルス・エレクトロニカの授賞式に出席するためにオーストリアのリンツに行く予定。『頭山』が準グランプリを受賞したからだ。とにかく目まぐるしくいろいろな事が重なり、落ち着かない半年だった。まだ今年一年は『頭山』の色々で終わりそうだ。

2003.5北欧

もちろん左が私のポスター
 5月にノルウエー、フィンランド、そして敬愛するアニメーション作家プリート・パルン宅を訪れる為、エストニアに行って来た。ノルウエーでは回顧上映のゲストとして、フィンランドでは、「タフ・アイ」アニメーション・フェスティバルの審査員と回顧上映、そしてポスターの絵も描いた。フェスティバルでは個人のお宅でサウナ・パーティーがあり、ゲストの審査員、映画祭関係者と暑いサウナに入り、汗をながす。庭先にハンモックがあり、湯上がりの肌に澄んだ空と爽やかな風が最高に心地よかった。
 ヘルシンキでは、大好きな監督アキ・カウリスマキの経営しているバーに立ち寄る。『過去のない男』にも出てくる故マッティ・ペロンパの肖像を見る。

『ストーカー』のロケ地は
小麦粉の廃工場でした。
「タフ・アイ」のフェスティバル・ディレクターであるパルンさんはじめ、エストニアのアニメーション監督たちとフィンランドから船でエストニアへ。そういえばカウリスマキの映画にもよくラスト、エストニアへ船で旅立つシーンがある。
 エストニアの首都タリンは、中世からの街並がのこっている美しい都市だ。日本から1年間アニメーション制作でエストニアに来ている米正さんとも、市の中心のアパートで再開。
 エストニアのアニメーション作家、マッティ・キュットさんと一緒にタルコフスキーの映画『ストーカー』のロケ地を案内してもらう。

プリート・パルンのイメージ
 パルンさんのお宅では、フィンランドに続きサウナに入った。フィンランドでもそうだったが、本場のサウナは摂氏80〜90度もあり、石に時々水やビールをかけると、100度ぐらいの蒸気があがり、火傷しそうなぐらい熱い。
 サケの皮の干物を肴にビールをのみながら、時々海岸沿いの芝が茂った庭に出ては涼む。昼がだんだん長くなってきているので、午後8時頃やっと日が沈みはじめる。裸で水平線に沈んでいく夕日を眺めて、なんとも言えない開放感を味わった。
 アトリエでは沢山のドローイング、版画を見せてもらう。アニメーションもいいけど絵画もとてもいい。いつか両方日本で紹介できたらいいのに。「タフ・アイ」のポスター作画の報酬にパルンさんのドローイングを一枚いただく。

サウナの思い出

 エストニアのユーニス・フィルムのスタジオをはじめ幾つかの小さなアニメーションスタジオも訪問した。多くの人との出合いもあり、充実した北欧3ヶ国の旅だった。

中央がヤンノ・ポルドマ、右がプリート・パルン、パルンの自宅にて

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