
街のあちこちにある手書きの看板

オープニング

審査員、左から私、フィリップ、ミカエラ
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5月5日から11日までチェコの「第3回国際アニメーションフェスティバル アニフェス2005」に短編部門と長編部門の国際審査員として参加した。実はチェコに着くまで長編部門の審査もすることを把握していなかったのですが。プラハから南に車で2時間ほどのトシェボニュという12世紀につくられた古くて小さな街が舞台。今回のコンペ作品は90%は未見の作品だったので、どんなアニメーションに出会えるのか愉しみにしていたが、なかなか優れた作品は少ない。グランプリは昨年シュトゥットガルトで自宅にお邪魔した時制作中だった、ギル・アルカベッツの新作『Morir de Amor』に全員一致で決定した。ストーリーテリングが、聡明で、楽しく、動画もいい。この作品は今年、賞を沢山とりそうな予感。
審査をすると、自分がアニメーションに何を期待して、何を基準に優れているかどうか判断しているのかが見えてくる。自分の理想というか、「アニメーション」に求める芸術の形を満たしてくれる作品に出会えると、本当にうきうきして幸せな気持ちになれる。
近年、国際アニメーション映画祭が急速に増えている。そんな中、特定の作品に賞が集中することがままある。自分の『頭山』もその手の1本だが、2000年以降の作品に限ると、『老人と海』『ある一日のはじまり』『岸辺のふたり』『フラックス』『ハービー・クランペット』『ライアン』などがある。
自分が感銘を受けたアニメーション作品は70年代の物が多く、では、ここ数年でどれほど優れた作品が生まれているのか、最近考えてしまう。上記の作品群は確かに基準値以上の優れた作品であはあり、現代アニメーションを代表するものだが、自分の理想のアニメーションかどうか考えると必ずしもイコールではない。
私が選ぶ、2000年代の傑作、個人的に感銘を受けた2000年代前半ベストを考えてみた。順不同で、アマンダ+ウェンディー『ある一日のはじまり』とクエイ兄弟『イン・アブセンティア』。短編ではないのと、未完なのでノルシュテイン『外套』は別格で。どれも70年代、80年代以前から活動している監督の作品になってしまった。次点は、これも順不同で『ドッグ』『パニック・イン・ザ・ヴィレッジ”ザ・ケーキ”』『ストーミー・ナイト』『ヴェイチェンベルグ・ストリート』かな。フェティバルに行かないと見れない作品ばかりなので、日本で公開されるよう、最近私も努力しています。その折にはぜひ見てみて下さい。
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