山村浩二-雑記1(1998‾2002.5) |
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2002.05■広島国際アニメーション選考 | |
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約2週間に渡る「第9回広島国際アニメーションフェスティバル」の1次選考が終わりました。 |
私自身何度も、コンペに選ばれなくて残念な思いをしたことがあります。自分が選ぶ経験をして思ったのは、選考委員(セレクション・コミッティー)は、審査員(ジュリー)ではないということです。我々は作品を選んだ(セレクション)だけで、審判(ジャッジ)を下したわけではありません。コンペから落ちたときは、自分の作品がだめだと烙印を押されたような気分になってしまうことがありますが、インコンペした作品とアウトコンペした作品で、どちらかがより優れていると選考で決めたわけではないんです。作品選考の話し合いは、フェスティバル・ディレクターの木下小夜子さんからの提言で、ポジティブな意見のみで行われました。ネガティブな意見で選考から外すようなことはしませんでした。魅力をより多くの選考委員に発見された作品が残っていった、ということでしょうか。ただ1度見た時より、2度見た時の方が作品の価値が深まることもあるし、その反対もある。見た時はそれほど楽しめなくても、あとで心の中で育っていく作品もあるし、見た時は楽しんでも、後は忘れる作品もある。でもこの選考はそのような時間をかけて見ることはできないので、大切なものを見落としていないかが、気掛かりです。 昨年末から今年にかけて私が海外の映画祭で見て大変面白いと感じた作品も含まれていて、これまでの経験から、この機会を逃すと日本で2度とみられない作品もありえるので、アニメーションに関心のある人は必ず見に来た方がいいです。ちょっと旅費はかかりますが、海外に行くことを思えば簡単で安いです。そして2年に一度、国内外のアニメーション作家とファンが集うこの大会で、アニメーション芸術の素晴らしい可能性と愉しみを同じ空間で共有できることを願います。 選考委員の作品プログラムもあり、「頭山」を広島で初公開しますので、それもぜひ見にきて欲しいです。 (02.6.01up) |
2002.04■フリーズ・フレーム | |
![]() 上映会場 |
4月16日から22日までカナダ中部のマニトバ州、ウイニペグという都市で開かれるフリーズ・フレーム映画祭に国際ゲストとして参加してきました。これで今年は2月のベルギー、3月のフランスと3ヶ月続けての海外旅行となってしまいました。ウイニペグは日本ではなじみのない都市ですが、「くまのプーさん」の原題、ウイニー・ザ・プーの「ウイニー」はウイニペグのことだそうです。春になって昼間が日に日に長くなり、午後8時をまわっても明るいのは変な感じでした。今回ははじめての経験ですが、通訳をしていただく野村さんとスパフォードさん御夫婦宅にホームステイさせていただきました。 |
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フリーズ・フレーム映画祭は、今年で6回目を迎える若い児童映画祭。ゲストは海外からは私一人、国内からのゲストもNFBのコ・ホードマンさんだけと、とてもこじんまりした映画祭です。ホードマンさんとは去年のモントリオール以来の再会です。フェスティバルでは4回、子ども向けのワークショップを行いました。ワークショップの前に「サンドイッチ」や「あめのひ」を上映したのですが、子どもたちは良く受けて笑って見てくれました。ホードマンさんはルドビックの最新作「風の魔法(Magic in the Air)」を上映して、そのあと私とホードマンさんのグループに別れてワークショップ会場に向かいます。 |
「風の魔法」はテディベアのルドビックの4作目にあたり、季節は秋。これでシリーズも完結。冬からはじまった4つの季節のエピソードをつなげて一本の中編(45分)に仕上げたバージョンも見ることができました。これは9月にDVD化されるそうです。ホードマンさんは早くも次の実験的なシリーズの制作に意欲を燃やしていて、2年前に来日した時の渋谷のスクランブル交差点の様子からインスパイヤされた実験的な作品を影絵の技法で作りたいそうです。これもまたシリーズで4〜5本作るようです。 |
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![]() ウイニペグのNFB ![]() スタジオの柱に「猫帰る」のヌイグルミが。 |
私のワークショップは粘土を使って3Dのチームとレリーフ状のキャラクターを壁につけて動かす2Dのグループに分けて、2台のビデオで一回6〜15フレームの大雑把な駒撮りをします。子どもたちは積極的にアニメーション制作を楽しんでくれました。 4月20日には、ウイニペグのNFBでホードマンさんといっしょに朝10時から4時までと、長時間にわたるマスタークラス向けのレクチャーを行いました。ここの事務所は、モントリオールのNFBほど大きくはないのですが、アニメーション制作も行っています。私が大好きな作家、リチャード・コンディ(Richard Condie)もここで「練習開始!(Getting Started)」や「ビッグ・スニット(The Big Snit)」を制作しました。NFBを辞めた今もウイニペグでアニメーションの仕事をしているそうです。「猫帰る(The Cat Came Back)」のコーデル・ベーカー(Cordell Barker)もここの作家で、このふたりはマニトバの2大有名アニメーション作家です。 |
![]() パーティーで挨拶するフェスティバル・ディレクターのニコールさん |
「猫帰る」のテーマ曲を歌っていた子ども向けの歌手でテレビタレントのフレッド・ペナーもフリーズ・フレームの司会に来ていました。 |
2002.3 |
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■頭山、制作中その5 | |
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3月1日、浪曲師の国本武春さんにお願いして、「頭山」のナレーション録音を行いました。はじめはノーマルに現代風ナレーションを撮ったのですが、国本さん自ら持参してくれた三味線のアドリブ演奏を交えた、後半で録音した節付きの浪曲風読みが傑作で、思わずうれしくてニヤニヤしてしまいました。修正を加えながら大きく言うと3テーク撮ったのですが、おなじセリフでも読む度に、節や間合い、三味線の間の手も変わってくる、つまりすべてアドリブなのです。日本の伝統的な語りは、いかに柔軟で変化に富む、豊かなものかと、認識を新たにしまた。国本さんのちょっとコミカルで張りのある声が、作品に新鮮な息吹を吹き込んでくれました。普段の声の録音だと、パートを分けることが多いのですが、国本さんは、毎回10分のナレーションを一気に通して弾き語る所はさすがです。 |
■1日フェスティバル | |
![]() 第8回1日フェスティバルのポスター |
フォリマージュ(Folimage)が、主催する第8回 一日フェスティバル(8e Festival d'un jour)で私の作品の回顧上映が組まれ、3月8日からフランスに4日間の短い旅行へ出かけました。フォリマージュは、南フランスのバランスに所在するアニメーション・スタジオで、ラ・ポードリア・アニメーション・スクール(La Poudriere Animation School)も併設しています。近年良質の短編を制作している、気になっていたスタジオからの招待で、喜んで受け入れました。 |
![]() 「丘の上の病院」の人形達 |
代表者のジャック・レミ・ジラードさんが現在制作している長篇アニメーション「蛙の予言(La Prophetie des Grenouilles)」、立体アニメーションのTVシリーズ「丘の上の病院(Hopital Hilltop)」、そして短編アニメーションがフォリマージュの主な制作の柱です。フランスでは制作を外国に発注することが多く、動画から仕上げまでを自社内で制作しているスタジオは珍しいそうです。 スタッフは作品に関わりながら、または、学校で教えながら自らの作品も制作できる、羨ましい環境。またヨーロッパの作家の8ヶ月の滞在制作制度もあって、この制作体制が良質の短編を生み出しているのでしょう。 |
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学校は2年制で、各学年8〜10人の少人数が、設備の整ったスタジオで自主制作に勤しんでいます。デジタルでの制作の設備、ビデオでのテスト撮影、動画用の机、立体アニメーションを作るスペ−ス、簡単なMAルーム、試写室を完備している。学校の通路にマクラーレンやらナイメア・ビフォア・クリスマスやらトトロ、ジャック・タチ、各国のアニメーション映画祭などいろいろなポスターが張られていたのが印象的でした。昨年オタワで一緒に審査員をつとめたアニックさんもここの学校で先生をしており、お互いに再会を喜びました。 フェスティバルは8日の6時からはじまって、夜通しで午前6時まで。朝の10時から再開して、夜の9時過ぎまでと、時差のある旅行者にはちょっときつい日程だが、これはこれで纏まっているし、盛り上がりもあっていいかも知れないと思いました。レトロスペクティブは、たった一人で長篇アニメーションを作ったアンドレ・リンドン(Andre Lindon)と「遠い雪山(Haut pays des d'or)」のバーナード・パラシオ(Bernard Palacios)で、パラシオの作品は(学生時代の作品から最新作「金の森の美女(La Belle au bois d'or)」まで見ることができまいした。 |
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![]() 1日フェスティバルの会場
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会場は3つあり、すべての上映は見られなかったのですが、印象にのこった作品は、チープさを逆手にとったベルギーの人形アニメーション「ザ・パニック・イン・ザ・ヴィレッジ”ザ・ケーキ”(Pic Pic et Andre <Quatre moins un>) 」がバカバカしく傑作で大笑いしました。子どもがごっこ遊びをしているように、おもちゃの人形がピコピコとした動きで、つまり関節はなく人形全体が動いているだけで、バカバカしいやり取りをするアニメーション。若いベルギーの2人組ビンセント・ペーターとステハン・オーバー(Vincent Pater/Stephane Aubier)がシリーズのデモとして作ったものだそうです。ロシアのステパーン・ビリュコフ(Stefan Birukov)「隣人(Les voisins)」も絵の感じが良くて、なかなかの習作。イタリアのジアンルイージ・トッカフォンド(Gianluigi Toccafondo)の「(Essere orti o essere vivi e la stessa cosa)」も美しいアニメーションでした。唯一賞が与えられるのが、フランスの短編プログラムで、観客の投票によって選ばれます。受賞作は、昨年のオタワでも見た作品で、朝目がさめると男のジャガデーンが女のジャガディーヌに変わってしまって巻き起こるコミカルなエピソードを描いた学生の作品アーサー・デピンズ(Arthur Depins)の「ジェラルディン(Geraldine)」でした。 |
![]() フォラム・デ・イマージュのホール。いくつのキャパシティーのホールがある。 |
10日にパリに戻りちょっと観光して、その夜は通訳のイランさんと一緒にフォラム・デ・イマージュのキューレター、カワ・トポールさん宅のディナーに呼ばれました。実は、カワ・トポールさんの推薦で先月のベルギーとこのフォリマージュのフェスティバルが決まったのです。翌日、そのフォラム・デ・イマージュを見学。フォラム・デ・イマージュは昨年「日本のアニメとデジタル・シネマ」という企画展の2回目を成功させた所で、もともとはパリに関する映画を収集していた公的機関。前は「ビデオ・テーク」と呼ばれていました。パリにはもうひとつ有名な「シネマ・テーク」がありますが、こちらは古い劇映画の収集保存が多く、フォーラムは新しい現在の映画、ビデオの所蔵が中心で、子どものためのワークショップやアニメーション上映も盛んに行っています。 |
その後「BIBO FILMS」というカートゥーン、CGのスタジオを見学。CMや長篇の手伝いをしながら、自主制作で短いTVシリーズを制作している会社です。日本のカートゥーン・ネットワークで見たことのあるショート・シリーズ「ジャン-リュックとスルナ」(JEAN-LUC ET FAIPASSA)もここの制作でした。若いスタッフが和気あいあいと仕事をしている様子は楽しそうで、仕事の内容、使っている機材なんかも似ていて近親感がわきました。 |
2002.2 |
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■ブリュッセル・カートゥーン・アンド・アニメーション・フェスティバル | |
![]() ブリュッセルの街角、大会ポスターの前で |
ブリュッセル・カートゥーン・アンド・アニメーション・フェスティバル(LE FESTIVAL DU DESSIN ANIME ET DU FILM D'ANIMATION)は、ベルギーの首都ブリュッセルで毎年ひらかれる国際アニメーションフェスティバルで、今年で21回目を迎える。コンペティションは国内ベルギーの作品だけで、審査は5人の国際審査委員によって進められる。Auditorium44という劇場で上映されるプログラムは、ここ1〜2年の新しい作品とコンペ作品を含む短編と長篇のセレクション部門、作家のレトロスペクティブ、特集上映の3部からなり、3年前から始まった「ANIMA 2002」と呼ばれるマスタークラス、プロ向けのレクチャーも別会場Botaniqueで同時開催されている。 |
プログラムは全て、主催しているフォリオスコープ(Folioscope)のメンバーが選んでいる。以前は国内の作品選出基準は厳しかったのだが、近年は海外作品に対しては厳しいが、ベルギーの作品はこのフェスティアバル以外では上映の機会が少ないとのことで、国内養護の姿勢で選出しているそうだ。2002年の大会は2月7日から17日まで開催され、私は13日に到着して、14〜17日までフェスティバルに参加した。普段は曇りか雨、天気が悪いことで有名なベルギーで、この4日間晴天に恵まれた。 今年のレトロスペクティブはスイスのジョルジュ・シュイッツゲベル(Georges Schwizgebel)、イギリスのマーク・ベーカー(Mark Baker)、ロシアのガリ・バディン(Garri Bardine)、それと私の4つのプログラム。ガリ・バディン以外はゲストで参加していた。マーク・ベーカーは韓国人の奥さんと一緒にAnima 2002でも講演をしていた。余談だが、シュイッツゲベルさんの奥さんも中国人で、私は日本人だから普通だけど、3人とも奥さんはアジア人。 |
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![]() Amina 2002 |
翌日15日午後2時から4時まで開催したAmina 2002では「あめのひ」「どっちにする?」「伝説のワニ ジェイク」の3作品を技術と内容両方から解説。質疑応答も活発で、講演が終わってからも通路で沢山質問を受けた。技術的な質問から、子ども向けのアニメーションと大人向けアニメーションで制作姿勢に違いがあるのか、ポケモンなど子どもたちには人気があってベルギーでも普及しているが、貴方の質感のあるアニメーションはそれらとどう対峙していくのか、など、など。 |
日本にもジャパニメーション以外のアート・アニメーション、インディペンデント・アニメーションがあることを初めて知ったという声もあり、ベルギーで上映、講演できた意義を感じた。日本からのゲストは1992年に川本喜八郎が来て以来私で2人目だとのこと。ベルギーには大学のアニメーション科がKASK大学をはじめ2〜3あるそうでそこの学生も何人か来ていた。 「メトロポリス」「人狼」などの日本の長篇アニメーションも人気で 、上映前に『メトロポリス』の予告編が、英語ナレーションのフランス語、オランダ語字幕(ベルギーはこの2つの言語が公用語。どちらかしか話せない人も多いので映画の字幕は必ず両方つく。)で毎回流れていた。特集上映としてイギリスのアードマンのCM作品集(日本のグルコ・プッチンプリンも含まれていた。)や、アメリカ、ピクサー社のガーリン・サスマン(Galyn Susman)による『Making of MONSTERS,INC.』と「モンスターズ・インク」のベルギーでのプレミアム上映など。「モンスターズ・インク」はわたしもベルギーではじめて見ることになったのだが、ベルギーの観客も盛り上がって何度も拍手と歓声があがっていた。ほかにアメリカのビル・プリンプトン(Bill Plympton)の長篇「ミュータント・エーリアン」(Mutant Aliens 1時間20分 2001)、チェコのシュヴァンク・マイエル(Jan Svankmajer)の「オテサーネク」(Otesanek 2時間7分 2000)など、商業アニメーションからインディペンデントまで幅広いプログラムだった。 |
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![]() ジョルジョ・シュイッツゲベル原画展 |
また上映会場の2つのスペースでジョルジョ・シュイッツゲベルとベルギーの作家ニコル・バン・ゴーゼム(Nicole van Goethem)のアニメーションの原画展もひらかれていた。 クロージングは受賞作の発表と上映、ベルギーが産んだインデペンデント・アニメーションの偉大なパイオニアで今回の審査員を務めるラウル・セルベ(Raoul Servais)の最新作「Atraksion」(2001)と、ヨーロッパのアニメーション・フェスティバル(Annecy, Bruxelles, Espinho, Stuttgart, Treviso, Utrecht et Zagreb)が選出する最優秀ヨーロッパ・アニメーション賞「Le Cartoond'or」に昨年輝いた「父と娘」(Fater and Daughter 8分30秒)の上映で幕を閉じた。 |
「父と娘」はオスカーをはじめ多くの賞を受賞していて、繊細で達者なアニメートと感傷的な音楽で涙をさそう美しい短編アニメーションだ。 最後にフォリオスコープのフィリップさん、ドリスさん、フランソワさん、パトリックさん、在ベルギー大使館の竹下さん、国際交流基金の皆さん、通訳をしていただいたエミさんとミカエルさん、ユウコさん、大変お世話になり、ありがとうございました。(作家名のみ敬称を略しましたことをここにお断りします。02.2.21up) |
2002.1 |
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■頭山、制作中その4 | |
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「頭山」準備中に花見を撮影したHi8を久ぶりに見直すと、1998年4月に撮影していた。もちろん3年8ヶ月の間ずっと制作していたわけではなく、いろいろな作品、仕事をしてきたのだが、随分時間が経ってしまった。 |
2001.12 |
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■頭山、制作中その3 | |
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再び「頭山」制作開始。やっとラストシーンの構想が固まったので、全体像が見えてきた。編集もすすめ、構成してみると当初15分の予定だったが、短くなって9分ぐらいになりそう。アニメーションの仕上げも残すところあと2〜3分、全体の1/3弱。来年の春くらいまでには映像を仕上げて、夏には音を作っていたいな。(01.12.3up) |
2001.11 |
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■伝説のワニ ジェイク | |
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7月から半年間続いたテレビシリーズ「伝説のワニ ジェイク」が12月いっぱいで終了する。準備期間もすくなく、1、2週先のアニメーションを追っかけ追っかけ制作している状況だったが、やっとペースが掴めてきたところで、終わるとなるとちょっとさみしい。多分ビデオかDVDになると思うので、テレビを見のがした方はどうぞ。(01.12.1up) |
2001.10 |
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■SAFOとNFB | |
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10月18日から21日、カナダの首都オタワで開かれたSAFO 第3回オタワ国際学生アニメーションフェスティバルに審査員として参加しました。日本からは1本もコンペ・インしていなかったのが残念。(パノラマに辻村真矢さんの「日々」が入っていました。)SAFOは、子ども、高校生、大学生の卒業制作、プロのデビューまで、オタワ国際アニメーションフェスティバルの若い制作者の部門が独立して隔年に開かれているフェスティバルで、各国のアニメーション課の学校対抗戦もあるのですが、学生映画といっても全体にレベルが高かく、私も大変刺激と勉強になりました。 |
得にイギリス のロイヤル・カレッジ・オブ・アートのバラエティーにとんだ作法と質の高さには驚きました。グランプリは審査員3人一致で、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの女性作家スージー・テンプルトンの「Dog」に決定。人形であれほどの感情表現(孤独、悲しみ...)が出来るとは。 |
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夕食会は、すごいアニメーターのメンバーで、コ・ホードマンさん、ポール・ドリエッセンさん、ジャック・ドゥルーアンさん、「王様のシャツにアイロンをかけたのは私の祖母」のトリル・コーブさん、「Hat」のミッシェル・コーノイヤーさんなどなどNFBのメンバーと、カナダで今CMを制作している「老人と海」のアレキセイエフ・ ペトロフさんも合流。この場にいらる幸せを感じ、夢の様な時でした。(01.11.5up) |
■2度の台風とシュヴァンクマイエル | |
雑誌の企画でチェコの鬼才、ヤン・シュヴァンクマイエル氏のインタビューをすることになり、準備のため最新長篇映画「オテサーネク」の試写を見に、渋谷へ向かう。ちょうど台風が接近していて、凄い雨。 |
2001.6 |
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■頭山、制作中その2 | |
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前回の文章から半年、新作「頭山」の映像がやっと半分まとまった。ということは半年で1/6進んだ計算。全体で13〜15分になりそうなので、半年で2〜2.5分出来るということか.....? |
2001.3 |
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■予知夢? | |
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子どもの頃、夢で何度も見る場所があって、あるとき学校の旅行先で夢で見た同じ場所を見つけたことがあったのですが、最近2度目の予知夢を体験しました。 |
2000.12 |
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■頭山、制作中 | |
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この3ヶ月ほど新作「頭山」の制作に集中している。あるところで、今世紀中に完成させたい、などと発言したこともあったが、いざ本格的に取り組みはじめると、とても無理なことがわかった。2年ほどまえから、仕事の合間をぬって少しづつ準備してきたのだが、やっと1/3ほどまとまってきたところだ。 ホードマンさんとの交流で刺激を受け、もっと真剣に取り組まねばと思っているのだが、残りはまったくこれからで、先は見通せない。すべて納得のいくまで作りたいと思っているので、1つのカットに、つい後から後から手をいれてしまう。作れば作る程ゴールが遠のく感じだ。たった15分ほどの短編だが、今さらながらアニメーションの制作は、気の長い作業だと思い知らされる。(00.12.25.up) |
2000.9 |
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■コ・ホードマン来日レポート | |
![]() こどもの城の屋上にて、 左から山村浩二、清瀬菫、コ・ホードマンさん |
8月15日から9月30日まで、カナダを代表するアニメーション作家、コ・ホードマン氏 が来日し、ヤマムラアニメーションでは、1ヶ月半という長期間に及ぶ滞在中のイベントのアレンジをお手伝いをしました。 今まで氏の作品は見ていましたが、まったく面識はなく、今回の1ヶ月半という長期 滞在を通じて、氏の誠実な人柄に直接触れることができ、また来日を有意義なものにするお手伝いができて心から良かったと思っています。 ホードマン氏訪日の企画が正式に決定するまで時間がかかり、十分な準備ができるか どうか不安がありましたが、多くの方々の御尽力、海外作家招聘の経験豊富なキンダ ーフィルムフェスティバル、こどもの城の協力により来日が実現し、さらにこのイベ ントが有意義なものと成りえたのだと思っています。 特に実務面で奔走したこどもの城の昼間さんなしには、今回の招聘は実現していなかったでしょう。 そしてなによりも、あれほどの過密なスケジュールを嫌な顔ひとつせず、ひとつずつ丁寧にこなしたホードマンさんの、気さくな人柄があったからこそ今回の招聘が成功したのだと思っています。 |
国際交流基金トロント支部が沖縄サミット記念に文化人を招待したいのだが、という話を持ちかけてきたのは、私が、2000年4月8日から16日までトロントで開催された 「トロント国際児童映画祭」に招かれた時でした。同映画祭で私の回顧上映が行われ たのですが、その時、国際交流基金トロント支部の方達とお昼を食べに行き、アドバイスを求められました。映画祭のディレクター、ジェーン・スコッテルさんが実はその時すでにホードマンさんの名前を挙げていたので、私自身好きな作家のひとりとして「ホードマンさんが良い」というようなことを言ったのです。どうもその一言が今 回の訪日実現のきっかけになったらしいということです。 帰国後、国際交流基金トロント支部の副所長横道さんと連絡を取りはじめました。今年は広島国際アニメーション映画祭があるので、できたら招聘をそれに間に合わせようとしたのです。 企画を立て始めたのは5月半ばくらいでした。自分としては、海外作家の招聘に関わるなどということは初めての体験で、そのころは具体的なアイデアは何も決まっていなくて、漠然とした思い付きをいくつか書き留めているくらいでした。 |
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![]() 「ルドビック-ぼくの庭のワニ」 |
ホードマンさんの作品については、70年代の作品はよく知っていましたが、トロントの映画祭でたまたま新作の「ルドビックシリーズ」の2本を見る機会を得て、これほど質の高い作品を日本でも上映ができるといいなと感じました。 今回、日本で「ルドビックシリーズ」の上映が何度か行われ、評判が高かったので、上映が実現できたのは本当に嬉しいです。 |
来日中のイベントの内容の詳細についてはホードマンさんが送ってくれたレポートを掲載します。それが一番良く詳細が書かれていると思います。 ホードマンさんの来日レポートを見る ![]() |
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![]() 国立劇場の楽屋にて。左から山村浩二、コ・ホードマンさん、蓑助さん |
印象的な体験を2つほど挙げたいと思います。まずは、川本さんに連れられて、ホー ドマンさんと一緒に文楽を見に行ったことです。川本さんのおかげで、楽屋に入ることができ、そこで蓑助さんが「お軽」を操るのを見せていただきました。おそらく、一生に一度あるかないかというような貴重な体験だと感じました。本当に感激しました。日本の文化について自分がまだ知らないことが多すぎると痛感しました。ホード マンさんの来日がきっかけとなって、日頃触れる機会のなかった日本の伝統文化に接することができて、川本さん並びにホードマンさんに感謝の言葉を述べたい気持ちです。また、ホードマンさんの日本の文化に対する鋭い洞察力には感心させられてばかりいました。 |
![]() ヤマムラアニメーションにて。左から山村浩二、清瀬菫、コ・ホードマンさん |
もう一つの印象的な出来事としては、これほどの長期間、好きな海外の作家と一緒にいられる機会はもうないだろうと、ホードマンさんへのロングインタビューを、こどもの城の昼間さんと一緒に行ったことです(於:ヤマムラアニメーション)。ロングとつくように、このインタビューは、午後1時から夕食休憩をはさんで、夜9時頃までかかりました。ホードマンさんがNFBに入ったころの話に始まって、フィルモグラ フィーにも含まれていないような初期の作品についての話、いままで聞くチャンスが なかったNFB制作の裏話など、興味深い話をいろいろ聞き出すことができました。このロングインタビューの詳しい内容ですが、2001年1月11日深夜24時から1時間、TBSのBS-i 『マニアタッ ク!』で放映が決まりましたので、アクセスできる方は是非御覧になってください。(00.12.25.up) |
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■Animation Jam 2000 | |
![]() 「Animation Jam 2000」より (絵・山村浩二) |
8月9、10、12、13日の4日間、ENBU art & plaing ゼミナールのサマースクールの講師を勤める。 23名のワークショップ参加者で、自分の初めの絵から、次の人の絵までアニメーションでイメージを繋げて1本の作品に仕上げる試み。画材は自由。鉛筆、ペン、インク、色紙を切り抜いたり、クレイを組み合わせたり。 短い期間だったので、自宅で徹夜の作業を続けた生徒もいた。 それぞれのシークエンスの長さは3〜15秒とまちまちだが、全体で3分50秒の作品に仕上り、シジジーズの冷水さんに音楽を付けてもらって、グッと完成度が増した。 9月9日に完成試写と公評会を開く。はじめてアニメーションを作った人も6〜7人いたが、それぞれ個性的な絵と動きで、見ごたえがある作品に仕上がった。 機会があれば、今後一般公開もしていきたいと思う。(00.09.12.up) |
2000.8 |
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■ノルシュティンからカフカ | |
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8月6日、ラピュタ・アニメーション・フェスティバルで私のトークショーの後、 阿佐ヶ谷の小料理屋で、かのユーリ・ノルシュティン氏と乾杯。 来日初日でお疲れの所、私のトークと上映を見ていただき、作品に大変興味を持って、良い評価をいただいた。 「水棲」、「ひゃっかずかん」が上映された時は、身を乗り出して見てくれました。今まで作品を作ってきてよかったと思った瞬間です。 酒の席で、カフカを原作に作品を作ったらどうかと、助言をいただく。 カフカはいつか挑戦してみたかったので、いま制作中の「頭山」ができたら考えてみることに。ただ他にもいくつか企画があるのでいつになるかはわからないが....。(00.09.12.up) |
2000.6 |
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■キメラ | |
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高校時代の友人が麻布大学獣医学部の講師をしていて、今年転属になる前にと、私に講演を依頼してきた。 美術大学などと違い、まったくの異分野なので戸惑ったが、小雨のふる6月28日、研究室の10数名対象になんとか講演をする。 友人は、遺伝子の研究をしている。研究室の奥で「キメラ」を飼育しているというので、見せてもらうことに。 私が知っている「キメラ」は「キマイラ」ともよばれる、ライオンの頭、ヘビの尾、ヤギの胴体をもつギリシャ神話の創造上の動物だ。 ここでいう「キメラ」は異種の動物を胚配合して生まれた新種の生き物のことを言うそうだ。主に使われるのはニワトリで、簡単にいうと黒いニワトリと白いニワトリをかけ合わせるとどうなるか、みたいなことらしい。 今夜か明日が羽化の時だそうで、殻の上1/3ほどをカットしてラップがかけられた卵の底に、粘膜に包まれたヒヨコが、びくん、びくんと動いている。 見てはいけないものを見てしまった様な嫌な違和感が心に残った。(00.07.03.up) |
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■ノルシュテインの原画 | |
6月15日、福音館書店に絵本のテスト撮影でうかがった時、ユーリ・ノルシュテインさんの絵本「霧につつまれたハリネズミ」の原画を見せていただいた。 今年の10月に発売(予定)される絵本の為にアニメーションとは別に新たに書き下ろしたものの1部、6点です。 厚手の版画用紙にマチエールを造り、その下地に、たぶん油絵の具で丹念に書き込まれていた。大変丁寧な仕事ぶりに感動。(00.07.03.up) |
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■マグノリア的偶然の一致 | |
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6月9日3時間の大作、映画「マグノリア」を下高井戸シネマで見る。 偶然の一致を素材にした物語りで、誰かの知り合いの誰かと誰かが偶然同じ時に....。冒頭に本編とは直接関係の無い短い逸話が3つ紹介されるんですが、その一つをここに書くと、飛び下り自殺した男が、落ちる途中の階から両親のけんかの流れ弾に当たって、死亡。しかし下には偶然工事のネットがあり、弾にあたっていなければ、助かっていた。両親の拳銃に弾を込めたのは、飛び下り自殺した息子自身で、撃った母親は逮捕される。 その日の午後は、うちの事務所で、福音館書店の打ち合わせがあったので、見終わるとすぐ妻と2人京王線で千歳烏山へもどる。 初めて会うカメラマンと偶然同じ電車の同じ車両に乗りあわせていて、改札で編集の方と4人同時にばったり会ってしまった。 まるで「マグノリア」みたいだと、今見てきた映画の話をする。 そして、打ち合わせのあと雑談をしていると、徐にカメラマンが、自宅に夕べ12ひき出現したという『ガマガエル』の写真を私にくれたのです。 「マグノリア」の映画のラストには、頂いた写真と同じ種類のガマガエルが沢山でてくるんです。(00.07.03.up) |
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2000.4 |
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■トロント国際児童映画祭 | |
1998.10 |
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■シカゴ国際児童映画祭 | |
1998.9 |
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■オタワ国際アニメーション映画祭 | |